研究内容紹介

当研究分野ではホメオスタシス社会の創製を究極の目的として,エネルギーを高密度に貯蔵,輸送,高効率に変換する材料の開発を行うとともに,エクセルギー理論によるシステムの評価・設計を行っている.

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(1)水素製造,貯蔵材料の開発と評価

 水素吸蔵合金は単に貯蔵媒体のみならず,電池材料,蓄熱材料,医薬品,センサー、ケミカルヒートポンプなどとして最近注目されている.これまでに水素雰囲気下での燃焼合成により活性化不要のMg系,Ti-Fe系,LaNi5系水素化物の直接合成に成功し,現在は実用化を目指し,大型のバッチ装置,連続合成装置を開発している.これにより安価で且つ高性能の水素吸蔵合金の供給が可能となる.最近では、VS法で合成するMgH2ファイバー(直径:数百nm)の最適な合成条件を明らかにし、反応特性に優れるため多方面での実用化が期待されている(図1).

図1 水素化CVD法によるMgH2ファイバーの製造。水素化/脱水素化中のMgH2-Mgゼブラ状ファイバー.


(2)次世代製鉄技術の開発

 鉄鋼業における環境エネルギー問題を解決すべく、木質系バイオマス利用、難処理鉱石(図2)やスラグ利用、アンモニア還元、炭素循環、排熱利用などをキーワードに基礎実験およびシステム設計を試みている.

図2 バイオマス製鉄ではV焼された鉱石内部のナノ細孔に化学気相浸透(CVI)法により炭素が析出する。


(3)耐熱材料の燃焼合成

 硬くて、超高温で使用できることから、「夢のセラミック」と呼ばれるサイアロン(Si-Al-O-N)微粒子の燃焼合成に成功した.この方法では合成のみならず、粉砕のエネルギーが大幅に削減されることから魅力的である.サイアロンのその将来性に注目し、富士工業株式会社殿と共に大学発ベンチャー企業として株式会社 燃焼合成を立ち上げた。現在、装置のスケールアップに着手している.


(4)各種電池材料の開発と評価

 燃料電池など各種電池の実用化が多いに期待される.電極材料や触媒として不定比酸化物(ABO3-δ、MxOなど)の開発が鍵を握ることから、燃焼合成や液相プラズマ法による製造を試みている.製品の形状、粒子径、量論比を制御する方法を確立しつつある.


(5)潜熱蓄熱材料の開発と評価

 PCM(相変化物質)は高い蓄熱密度で容易に繰り返し使用でき,融点一定で熱を放出する利点がある.特に百℃以上千℃程度までの工業排熱回収を目的に,効率よく貯蔵するPCM開発,民生への熱輸送用コンテナ開発,および断続的に発生する高温排熱(スラグ,燃焼排ガス)を回収し利用する技術を研究している.


(6)熱電変換材料の燃焼合成

 熱電素子(ペルチェ素子)は高い製造価格と低い変換効率(10%以下)のため実用化が拒まれてきたが,燃焼合成により高精度に量論比を制御した不定比酸化物(酸素欠損および過剰物質)はドーピング不要の半導体となり価格低下および高ZT値により実用性が高い.最近変換効率16%を超えるチタン系酸化物の合成に成功し更なる変換効率の向上が期待できる.


(7)液相プラズマ法によるナノ材料合成

液相プラズマ法によるナノ材料合成は多段階の反応や分離プロセスを必要とする従来法に比べて工程がシンプルであり,応用範囲が広い.生成ナノ材料の制御法を確立するとともに,本手法による光触媒・リチウムイオン二次電池材料の高性能化を試みている.


(8)民生・産業間連携のためのシステム設計

 エネルギー変換マテリアルを開発するにあたり,ライフサイクルを考慮したシステム評価は不可欠である.ここでは真のエネルギー評価の尺度,エクセルギーを用いて損失の総和が最小となるシステムの設計を目指している.さらに恒常的にシステムを維持するために先端的なネットワーク理論による解析を進め,異業種が共生するエコ・コンビナートの設計に役立てている.(図3)

図3 製鉄所をハブとするコンビナート設計の一例.そこではプロセス間リンクのための要素材料,技術が適用され,生体系の如くホメオスタシス機能を有し,物質,エネルギーおよび情報の流れがエクセルギー損失最小の観点から最適設計されている.

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